先物を原資産とするCFDには価格調整がつきものですが、両建てすれば価格調整の影響は受けません。では本当に両建てすることにより利益があげられるのか?
実際に米国VIで売買されている方がいらっしゃるようなので、その記事を参考にしながら検証してみたいと思います。

当該記事によれば15ドル程度で両建てし、概ね20ドル超えたところで買を決済、新規売り追加でこの時点で2ロット売り状態にし、15ドル程度まで下がったところで1ロット売り決済、新規で買を追加し両建てにする。これを繰り返すようです。

2018年9月に15ドル前後を推移していますのでここで両建てになります。
正確な建値が分かりませんので便宜上15ドルで買と売の両建てとします。

10月にはすぐに23ドル近くまで上昇します。とりあえずこの辺りで買を決済。
記事を参考にプラス9000円の確定利益とします。
新規売りを追加し売りは2ロットとなります。

その後相場が荒れ模様となりますが1月下旬頃より落ち着きを取り戻します。
記事をみますと2月に累計損益にプラス6000円、かつ両建てとなっているので10月に追加売りをした分を決済し、新規買いを2月の下旬頃行ったと想定します。
ここで確定した損益はプラス15000円となります。
実際は売り保有の分で積みあがっている未決済価格調整額があります。

さて、その後は両建てをそのまま保有し続け、8月に入り22ドルを超えますのでここで買を決済し、売りを追加したと想定します。

15ドルで買ったとすると7ドルの利益ですが、買保有の未決済評価額を加味すると
3月 -1335円
4月 -1542円
5月 -492円
6月 -781円
7月 -1691円
約1000円強の利益となります。便宜上2000円の利益として累計損益を17000円とします。

8/15日現在米国VIは20ドル程度を推移しています。
売り保有の損益状態をみてみましょう。
最初に15ドルで売り建てた分の評価損益は-5ドルで約5000円の評価損ですが、未決済価格調整額が直近の8月と昨年の9月も含めると3082円のプラスとなるのでトータル約2000円の損失となります。
新規で売りを追加した分を22ドルで建てたと想定すると約2ドル、約2000円の評価益で、未決済価格調整が1016円なのでトータル約1000円の利益となります。

これらすべて考慮すると約16000円の利益となります。

現状では売り2枚保有状態なのでこのまま相場が安定していくと新規売りの分で利益がとれることとなります。

この戦略のキモは売り保有で価格調整額を狙う、というのではなく、買いの長期保有で損失となる価格調整額を売り保有で相殺するという点になるでしょう。
また、そもそも売りの長期保有自体に優位性がありますから、価格調整額も充分狙えるということになります。
更に、両建て状態ですからVIX急騰のリスクヘッジにもなっています。

とはいえ、両建てではなく売りが2ロットになる時期もありますからその点は注意が必要です。
また、買と売りの両建て状態にしますが、この場合価格が20に到達しない間はリスクもありませんが価格調整額も相殺で入ってきません。

従って15~20を頻繁に往来する相場では利益が見込めますが、20を超える事が長期間ないような安定相場だといわば塩漬け状態になる場合があります。
VIXが急騰した場合は米国VIの買いで利益は出ますが、同時に売りでは損失が出ています。
20を超えた時点でその買いは原則外されるので売りだけとなりヘッジはありません。
VIXが下がらないと利益にならなそうですが、仮に20近辺を長期間滞留していてもコンタンゴである限りは売りのみですから価格調整額が入ってきます。ただ、こうなるとVIXの単純売りと何が違うのかという話になってきますが。

おもしろくない展開は15以下に下がってから両建てし、長期間20を超えない安定相場でしょうか。昨年2019年の10月に米国VIは20を超えてから約3か月ほど20はつけていません。
また、売りのみの状態が一定期間続きますが、この場合想定通り下がらずに再び上昇に転じるという展開がもっともおもしろくない展開かもしれません。

ちなみに2017年の米国VI最高値は16.46でした。
米国VIはVIX先物満期1週間前に期先に切り替わるので厳密には違ってきますが、VIX先物の過去の動きを見ておきましょう。→VIX先物コンタンゴ表2004~2018まとめ
VIX先物の期近は
2005年は高値16.67
2008年~2011年までは安値15.9
2017年は高値16.33
2005年は買いと売りの両建てが続いて翌年まで決済できず、価格調整額も相殺されることとなります。
2008年~2011年までは売りのみの状態が続きますので価格調整額が入ってきます。とは言え2008年は売りが大幅に評価損となる時期が続く事となり、バックワーデーションの期間もありますので価格調整額の支払いとなる時期もあります。
2017年も買いと売りの両建て状態が続きます。